煙草の煙のラブソング/虹村 凌
もうラブソングを歌わなくなって
しばらく経つ
そんな事に気づいたのは
煙草を立て続けに吸って
気持ち悪くなってからだった
恋をすればラブソングを歌い
失恋しれば失恋の歌を書いた
頭の悪い僕は
新しい恋に向けて
「お下がり」のような歌を書いた
埃にまみれたノートを読んで
吐きそうになった事がある
それを思い出して
また吐きそうになったんだ
戦争が起これば反戦歌
俺だって戦争は嫌いだ
だけど戦場も戦争も知らない
無責任な歌は歌えない
(それはオナニー)
コンセントにつながれれば
詩が書けるマシン
そんな物がいつか発売されたら
もう「お下がり」のラブソングは
出てきやしないだろう
煙草の火をもみ消した
灰色の煙が立ち上って
消えた
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