君を/ふるる
海がそっとまぶたをとじる
青い響きの中
かもめは
追撃機のようにまっすぐ堕ちた
手のひらにすくう砂
ランプの芯のようにあたたかい
ぼくは見上げ
あたたかいのは君の手だと知る
浮いたり沈んだりする
ホオジロザメを含んでいる海
ふるさとはつねに
遠ざかり近づき
ぼくは落ち着かない
パンの耳を焼いて
砂糖をまぶしただけのお菓子
君の足は
すんなりととてもきれい
ぼくは立とうとしてころぶ
時間のさざ波の中で
君のやさしいふくらみが
たゆたう
ぼくの中で
片手に握り締めたペン先からにじみ出す
言葉、言葉、言葉
遠ざかり近づく君
なくしたと思っていたぼく
探し続けていたぼく
君を、君を、君を
ここに記す
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