エインスベルの反逆(十三)/朧月夜
「アイソニアの騎士は、将来の妻を誘拐されたのです。
それには、祭祀クーラスが関わっております。彼の望むところは、
このわたし、アイソニアの騎士、戦士エイソスを滅ぼすことです。
クーラスは、いずれはこの国の王となろうとしています?」
「何だと? クーラスがこの国の王となると?
クーラスは、常にこの国のことを考えている。信じられない」
「貴方様は、失礼ながら、祭祀クーラスに利用されております。
忌憚なく述べましょう。貴方は、祭祀クーラスの傀儡なのです」
「傀儡とな? 祭祀クーラスはそれほどまでに我を軽んじているのか?」
「祭祀クーラスの野心が勝っている、と言うことが出来るでしょう。
彼は、祭祀会議をこの国の最高権力にすることを、考えているのかもしれません」
「祭祀会議は、この国の要だ。祭祀会議なくして、この国の政治は立ち行かない……」
「それが危険なのです。ジギリス様に関しては、十分にご用心ください」
ジギリスは、エインスベルのこの言葉に逡巡した。
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