祭祀クーラスとエインスベル(七)/朧月夜
しかし、祭祀クーラスの反撃はそこから始まった。
まずは範囲魔法を解除する呪文を唱え、
エインスベルに騙されていた衛兵たちを再度味方につける。
その数は十名。二対十の戦いは圧倒的に有利に思われた。
「エインスベル。公の場でお前を裁くことが当初の目的だったが、
今は手段を選んではいられないようだ。ここで死んでもらう」
「わたしも、むざむざ死にに来たのではありません。
今、わたしが何を持っているか、ご存じですか? 虹の魔法石です」
「虹の魔法石を……お前が? なぜだ!
なせ、エランドルはお前に虹の魔法石を与えた?」多少動揺したクーラスが言う。
「エランドルのこともご存じなのですね。さすがは高名な政治家だ」
「政治家というのは、あらゆる事どもに精通していなくてはいけない。
武力や戦争に関してもな。ここが、お前の墓場となる、エインスベル」
「そう簡単には、わたしは殺せませんよ!」そう叫んで、エインスベルが跳躍する。
前 次 グループ"クールラントの詩"
編 削 Point(1)