オーバ・ニーチェの戦士エイソス(五)/朧月夜
 
戦士エイソスは、エインスベルを何としても、国家の表舞台に立たせようとしていた。
エインスベルは影で行動する人物ではない。その魔導をもって、
国家を率いていかなければいけない立場、そして能力を持っているのだ。
ここで機会を逃せば、エインスベルは一生日陰の人生を歩まねばならない。

しかし、それは自分、戦士エイソスも望むところではない。
この点においては、盗賊ヨランやアイソニアの騎士も同じ考えだろう……
(ここは、何としてもウルム・ルーランテを取り込まねば……)
戦士エイソスは思案した。そして、一つの提案を考える。

「エインスベルは、今虹色の魔法石を持っています。この魔法石は、
 通常の魔法石とは違うものだと聞いています。いわく、
 この魔法石は敵対する人間の魔法石の威力を無効化すると」

「何、そんな魔法石がこの世にあるのか?」祭祀ウルムは驚いた。
そのような魔法石のことなど、噂にも聞いたことがなかったのである。
「さようです。今エインスベルを国家の重鎮に据えれば、クーラス亡き後のクールラントも……」
   グループ"クールラントの詩"
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