ラディアの黒色槍兵団(一)/朧月夜
この地ヨースマルテには、エインスベルのグループと同じほどの、
武勇を兼ね備えた集団がいくつもあった。
その一つが、ラディアの街の黒色槍兵団である。
ラディアの街とは、もちろん軍国ラゴスの都のことだ。
この歌を聞く者たちは、ラゴスの地と国情については疎いであろう。
ラゴスの国は軍国であり、その国土はクールラントの半分ほどであった。
しかし、ラゴスは海洋国家でもあり、海外にその五倍の植民地を持っていた。
ラディアの黒色槍兵団は、それらの地で無双の力を発揮した。
あらゆる夢と黄金とは、ラディアの黒色槍兵団のものであった。
一たび手に入れんと思ったものは、必ずラディアの黒色槍兵団のものとなった。
しかし、ただ一つだけ、彼らにもままならないものがあった。
それがクールラントの土地と、その宝石であるカーガリンデである。
黒色槍兵団はクールラントの地に幾度も攻め入ったが、
カーガリンデを落とすことは決して出来なかった。
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