祭司クーラス(四)/朧月夜
 
祭司クーラスは、時折国王に報告を行っていた。
アイソニアの騎士について、魔導士エインスベルについて。
国王は、彼らが国に害を為すものかどうかを、判然とさせ得なかった。
利用出来る間は利用しよう、というのが国王の意向だった。

その意向は、当然ながら祭司クーラスにも伝わった。
「国王の仰せになるままに、御意」と、祭司クーラスは言う。
それにしてもなぜ、アイソニアの騎士たちは戦うのだろう。
それは、祭司クーラスにとっては尽きない疑問だった。

アイソニアの騎士たちを英雄と祭り上げる人々もいた。
しかし、クーラス自身は懐疑的だった。彼らはただ、
営利や名誉を目的として振る舞っているのではないか、と疑っていた。

もし、クールラントの敵が彼らを利することがあれば、
アイソニアの騎士や魔導士エインスベルらは、この国を敵とみなすだろう、
というのが、祭司クーラスの考えだった。
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