アスペルの街にて(二)/朧月夜
「よう、家は見つかったか?」
とある酒場で、エインスベルはアイソニアの騎士に声を掛けられた。
その場にはオスファハンも同席していた。
「どうして家のことを?」エインスベルは尋ねる。
実は、オスファハンとアイソニアの騎士とは旧知の仲だったのである。
「お前さんのことは、オスファハンから聞いた。
でも、まだまだ秘密があるのだろう?」
アイソニアの騎士は魅力的な目でエインスベルに訊いた。
「冒険者が家を欲しいなどと、常であれば言うことではない。
お前さんには多分、隠していることがあるんだ」
アイソニアの騎士は厳しい目で言う。
その通りだ。その時、オスファハンが口を開いた。
「アイソニアの騎士よ、エインスベルの傭兵となってはどうか?」
それこそが運命の言葉だった、二人を永遠に結び付ける。
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