レ・スペラスとの戦い(二)/朧月夜
それは何度目の戦いだったのだろう。
オークの族長であるフィリポ・アル・ゲルデは、
クールラントの地への侵攻を決意した。それは、
クールラントの戦力がいつにもまして落ちていたからである。
まず、ルクソスの街の反乱があった。
また、ディペルスの街はドラゴンの奇襲によって、疲弊していた。
フィリポ・アル・ゲルデは、まずディペルスの街を奇襲し、
その余勢を駆って、カラスガラの街へも攻め入るつもりだった。
フィリポ・アル・ゲルデは自ら指揮を執り、
ディペルスの街の北辺にある、ガイジェスの丘に布陣をした。
その数、約三万。眷属であるオーガやオグルも動員していた。
クールラントの王は恐れをなした。なぜなら、クールラントの兵力は、
その全てをかき集めても、二万に足らなかったからである。
クールラントの王は、炎の国、ラゴスとの和平を模索せざるを得なかった。
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