レ・スペラスとの戦い(三)/朧月夜
クールラントの王は、南の国ラゴスへ使者を送り出すことにした。
その使者に選ばれたのは、祭司クーラスである。
なぜなら、祭司クーラスはラゴスの首都ラディアの出身だったから。
祭司クーラスは早馬を駆って、ラディアの街へと赴いた。
クールラントの王には、一つの思惑があった。
ラゴスの国にとって、レ・スペラスは、
クールラントと同じように宿敵の間柄だったのだ。
クールラントが滅ぼされてしまえば、次の標的はラゴスになるはずだった。
しかし、ラゴスの王は難色を示した。その結果、
アイソニアの騎士とエインスベル、エイソスを贄に出すのであれば、
五千の兵隊を貸与しようと、祭司クーラスに答えた。
それは、祭司クーラスにとっても願ってもいない返答だった。
祭司クーラスは早速早馬を駆って、カラスガラへと帰還した。
クールラントの王は当然難色を示したが、その申し出に応じざるを得なかった。
前 次 グループ"クールラントの詩"
編 削 Point(1)