復讐への旅路(六)/朧月夜
ユーラディアの谷を一行が抜けるには、十日の時間がかかった。
これは当初の予想よりは、遅かったと言えるであろう。
その途中では、オパ・ビアやブルー・ドラゴンとの戦闘があった。
エインスベルは焦っていた。なぜなら、
叔母ミーガンテ・アリア・ガルデの戴冠十年式典が、五日後に迫っていたからである。
これは何としても阻止しなければいけない、とエインスベルは考えていた。
ファシブルの国は、なんとしても母マリアノスが納めなければならなかったのである。
そのためには、どんな屈辱にも試練にも耐える、とエインスベルは考えていた。
エインスベルたちの一行が、ファシブルの国にたどり着いた時、
「これからは少人数で行動しよう」と、アイソニアの騎士が言った。
「我々は異教徒だ。少ない人数ごとに行動したほうが、見つかりにくい」
「エインスベルよ、なぜお前は復讐にこだわるのだ?」アイソニアの騎士は再び尋ねた。
「アイリース、ミジェンヌ、そして何よりも母マリアノスの信義を回復させるためだ」
エインスベルの中には、奴隷に落とされたという事実もあって、様々な思惑が隠されていたのだ。
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