来訪者(二)/朧月夜
「わたしはカーガリンデを裏切ってなどいない。
ましてや、クールランの国とにあっては……」
「あなたは今、正魔導士の位にはありません。
国家に仇名すやも知れぬ存在とされているのです」
「用はそれだけか?
わたしは自分の身は自分で守る。
そのためにも、オークの傭兵たちを雇っている」
「それが問題なのです」
ハザック・アザンは繰り返して言う。
「クールラントとレ・スペラスとは戦争状態です。
いつオークたちがいつ攻め込んでくるか、裏切るかも分かりません」
「あなたは本当に自分の身が安全だと思っているのですか?」
「安全だなどと思ってはいない。しかし、クールラントの国は裏切れぬ」
「それがあなたの答えですか。正直落胆しました」
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