アジェスの森の戦い(四)/朧月夜
 
アイソニアの騎士が率いる部隊がアジェスに到着したのは、
エインスベルらの軍団が到着してより、半日ほど後だった。
アイソニアの騎士らは、負傷者の手当てに奔走していたのである。
「この戦。全員生きて帰るぞ!」それがアイソニアの騎士の訓示だった。

クールラントの負傷兵らは、捕虜として遇された。
そのため、一部の部隊はハンザガルテへと帰還することになった。
「戦争にもルールはある」アイソニアの騎士は呟く。
包囲陣を突破するためとは言え、クールラントは負傷兵たちを見捨てたのだ。

「クールラントはこんなにも非情な国家だったろうか。
 それともこの戦争が非情なのか?」アイソニアの騎士は呟く。
しかし、アイソニアの騎士とて感傷に浸っている暇はなかった。

「出発準備が整い次第、我々はアジェスの森へ出立する。
 弓兵は前へ、槍兵たちは、魔導士の防御に回るように」
クールラントの部隊を逃がしてしまった今、一刻の猶予もなかった。
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