それぞれの戦い(九)/朧月夜
 
そんな時である。オスファハンがヒアシム・カインの光を見たのは。
「これはエインスベルの仕業だ、間違いない」
オスファハンは、騎馬に乗ってエインスベルの元へと、
駆けつける。「今すぐその呪文を止めよ」と言うために。

しかし、オスファハンの助言は無力だった。
エインスベルはすでに復讐の軛から放たれていたのである。
「クールラントを守ること」それがエインスベルの最大欲求であった。
たとえどんなことをしてでも……

エインスベルの説得に失敗したオスファハンは、自陣に戻る。
そして、アースランテの後陣への攻撃を続けさせた。
「この一戦、あるいは敵を殲滅させるかもしれない……」

オスファハンは恐れた。アースランテ軍の全滅によって、
ファシブルが勢いづくことを。この戦は勝ちすぎてはいけないのだ……
そう囁いているところに、後退を図った敵兵たちが近づいて来ていた。
   グループ"クールラントの詩"
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