盗賊ヨランの旅(九)/朧月夜
強烈な光が瞬いている間に、エイミノアは三体のグルレッケを葬った。
(敵にも焦りが出てきている。人の造りし物に怯えているのだ)
ヨランは、盗賊にしては不気味なほどに落ち着いていた。
(これが、エインスベル様と旅をするということなのか?)
エイミノアの頭のなかをさまざまな想念が巡る。
(わたしは一人の戦士であったはずだ。無敵とまでは言わないが。
しかし、そんな驕りはこの場面では通用しないのか?
わたしは、完全にヨランの意志に押されている!)
「どうやら、グルレッケたちは去ったようだな。
今宵の狩りは諦めたらしい」エイミノアが一息ついて言う。
「そうでもありませんよ。やはり今夜はここから移動したほうが良いでしょう」
「何? お前は前言を翻すのか?」エイミノアが思わず気色ばむ。
「戦闘とは、臨機応変にこなすことが重要なのです。エイミノア様」
「ふっ。まさか盗賊ごときに戦闘の要領を教えられるとはな……」
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