オスファハンと盗賊ヨラン(五)/朧月夜
ヨランの後に続いて、ゆっくりとした足取りで、
エイミノアが執務室の床に飛び降りる。
「おや、これは何の真似かね? 戦士をわたしに差し向けるとは?」
オスファハンは、いささか困惑したように呟いた。
「この者がいかなる者か、あなたには分かりますか?」
「知る由もない。盗賊風情が傭兵を雇ったか。笑止なことだ」
「もしもこの者が……エインスベル様の側近だとしたら?」
「なんだと?」明らかに、オスファハンは顔色を変えた。
エインスベルの行状。そして、ライランテ戦争の行方。
それらはどれもデリケートなことだったのである。
(エインスベルが処刑されるなら、それも良い)オスファハンは思っていた。
「すべてはクールラントの内情に関することだ。今の我に係ることではない」
「そうも言っていられますまい。もし、祭祀クーラスが独裁を始めたら?」
「それは憂慮すべきことだ。しかし、我が国にもやり方というものがある」
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