閃光と跳躍と(五)/朧月夜
 
瞬く光が、ヨランとエイミノアとを包み込んだ。
「これは何か?」、エイミノアは恐れと懐疑の念とに捕らわれた。
(四肢が溶けていくではないか? いったい何事が起ったというのか!)
そんなふうに恐れるエイミノアの手を、ヨランは握っていた。

ヨランは、次元跳躍の能力を使ったのである。
そして一瞬の後、彼らはある邸宅のなかにいるようであった。
エイミノアは頭を振る。「いったい何が起こった、盗賊?
 事情を説明しろ! まったく、これで何度目か、わたしがお前に振り回されるのは……」
 
「今のは、次元跳躍の魔法です。いいえ、正確には魔法ではありません。
 次元跳躍とは、自らの体を触媒として、空間と空間とを結びつける技術なのです」
「そんな細かな説明は良い。今お前が、何をしたのかを説明しろ!」

「先ほど、わたしたちはオスファハン邸を抜け出しました。
 今いるのは、アースランテです」ヨランは、やはり落ち着いた様子で答えた。
「アースランテか? あのアイソニアの騎士がいる、アースランテか?」
   グループ"クールラントの詩"
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