薄明の中で(十七)/朧月夜
「別のこと? 一体それは何でありましょうか?」フランキスは強張りながら言った。
祭祀クーラスは、今では為政者の顔として、面持ちを崩さないでいる。
「お前には、ある種の間者のような役割を果たしてもらいたい。
戦士エイソスに取り入り、その心を意のままに操ってほしいのだ」
「エイソスに……。彼は、今ではこの国の聖騎士の一人です。
わたしとは対等な立場におります。それを、その心を操れとは……」
「事はそう難しくはない。汝には、彼を、エイソスを説得してもらいたいのだ」
「では、いかなる方法を用いれば良いとお考えですか?」
「彼の妻、クシュリー・クリスティナを捕えてもらいたい」
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