世界の真実(十六)/朧月夜
 
「しかし、クーラスはすでに虹の魔法石を持っているのであろう?」
「そうでございます。ですが、多分彼は使い方を知らないのです」
「虹の魔法石の……か? それはあり得ぬ。あの狡猾な男のことだ。
 きっと、オスファハンから、その使用法は聞いているに違いない」

「それは、この魔法石が世界をも滅ぼせると、知らなければでございます。
 オスファハンとて、そうそう軽はずみな真似はなさいますまい」
「では、何が問題だと言うのだ?」と、アイソニアの騎士。

「わたしどもですら、世界を変え得るということです」
そのヨランの答えに、アイソニアの騎士とエイミノアは当惑した。
そもそも、この旅に駆り出されてから、彼らは当惑させられるばかりである。

幽冥界という異界が存在したことは、彼らとて知っている。そこが不可思議な世界だということも。
しかし、この盗賊の言はいささか飛躍しすぎなのではないのか、とも思うのだった。
(俺たちはイカレ野郎と旅をしているのか?)二人が同時に思った。
   グループ"クールラントの詩"
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