砂漠の行軍(一)/朧月夜
ヨランたち一行は、三日の間砂漠を旅していた。
オーマルに取りついたエランドルと話して以降である。
皆の喉が渇く、しかし、不思議に食欲は感じられなかった。
そして、三日という時間も彼らの体感時間でしかないのである。
なぜなら、このハーレスケイドという冥界では時が止まっているからだ。
「おい、盗賊。このままでは、エインスベルが処刑されてしまう。
俺たちは、いつまでこの砂漠を渡って行けば良いのか?」
アイソニアの騎士は、喉の渇きに苦痛を覚えながら言った。
「いいえ、心配ございません。わたしどもがアースレジェへと帰るとき、
エインスベル様はまだご無事でしょう。それに、リグナロス様が
何とかしてくださいます。そんな気がするのです……」
「そのリグナロスとは何者か?」アイソニアの騎士が憮然として問う。
「エインスベル様が囚われている監獄の、看守でございます」
「ふむん。国家の犬か。信用おけんな」
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