アイソニアの騎士とエランドル(九)/朧月夜
アイソニアの騎士は、痛いところを突かれたという表情を見せた。
(エインスベル、エインスベル、我が最愛の女……
しかし、エインスベルがククリスの生まれ変わりとは、どういうことだ?)
そこに、ヨランが割って入る。
「ククリス……あなたは、あの時もそう言っていましたね。
わたしとエインスベル様の前に姿を現した、あの時です。
一体、ククリス様とは、どなたなのですか?」
アイソニアの騎士は、呆気にとられたような表情で、ヨランを見つめた。
(この男は、かつてエランドルに会っている? それは初耳だ)
「アイソニアの騎士様。あなたもご存じないことを、お耳に入れます。
彼──エランドルは、エインスベル様が愛する人の生まれ変わりだと信じております」
「馬鹿な! 生まれ変わりなどない!」アイソニアの騎士は怒った。
「そうかな。ここ、ハーレスケイドでは時間が止まっている。
わたしはこの世界を作り、そこに全てを託した。人間の未来を……」
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