盗賊ヨランとアイソニアの騎士(二)/朧月夜
 
「俺は、これからイリアスの屋敷へ行く。しかし、
 彼女はコウロウ・ノームという男の邸宅に住んでいる。
 もしかすると、イリアスはノームの娘なのかもしれない。
 しかし、詳しい事情は俺も知らない」
 
アイソニアの騎士は逡巡しているのか? とヨランは思った。
「彼女の本名は、イリアス・ナディ=ノームだ。
 コウロウ・ノームは、王室の関係者だったという噂もある」
「それは、重要な情報ですね。しかし、今は関係ないことでしょう?」

千人隊長であるアイソニアの騎士に輿入れをするという以上、
イリアスが貴族階級の娘であることは、間違いない。
「いや。イリアスが何かを隠していることは、確かだ」

しかし、アイソニアの騎士の思いに変わりはなかった。
当初は、イリアスのほうから熱狂的なアプローチを受けていたが、彼女の存在は、
アイソニアの騎士にとっても、今では無二の存在になっていたのである。
   グループ"クールラントの詩"
   Point(1)