アースランテとの駆け引き(十四)/朧月夜
「恐れ入りました。祭祀クーラスには、帰国後に、
あなた様のご意向をお聞かせしましょう。しかし、本当に……
イリアス様の生殺与奪を我々に任せるというのですか?」
「当然だ。王室には王室の流儀というものがある」
「それであれば良いのですが、祭祀クーラスは怒りのままに、
イリアス嬢を殺してしまうかもしれません。
あなたはそれでも良いのですか?」
「クーラスは、イリアスを殺しはしまい」とハッジズ。
「大方、我を屠った後にアースランテの傀儡に仕立てるくらいだ」
「仰せのこと、もっともにございます。しかし、今回の会話はご内密に」
「内密? ……ははは。余がそのような小者ごときに、力を込めるとおもうか?」
ハッジズは、目を血ばらせながら言った。「我が敵国。
汝、クールラントの国もそれなりの戦の準備をしておくことだ」
……ここに、アースランテは第一次ライランテ戦争と同じ体制を整えたったのだった。
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