いくつもの運命(四)/朧月夜
 
「さて、どうでしょう?」今やフランキスは、元のさやに戻っていた。
祭祀クーラスを今暗殺する、という考えは完全に捨て去ったのである。
しかも、彼は自信家だった。アイソニアの騎士やエインスベルなど、
我が手によって殺せる、と考えていたのである。

フランキスが考えを翻した理由としては、
このまま祭祀クーラスに付き添っておいたほうが得策だ、という思いがあった。
しかし、それ以上にクールラントがライランテ大陸を平定する、
という方策に途方もない魅力を感じたのである。

敵はアースランテ? それともラゴス? ヒスフェル聖国?
そのどれでも、フランキスにとって大した違いはなかった。
次の戦争は必ず起こる。いや、すでに起こっている。

(くくっ。祭祀クーラス。あなたの治世がいつまで続くか……)
フランキス・ユーランディアは内心でほくそ笑んだ。
(これからは俺の時代だ。そうではないか? いつかこの国の実権を握ってみせる!)

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