鬼になった子供(鬼吉と春一番)/板谷みきょう
 
 「ぐるり山」に囲まれたこの村だで、こん時期になると、ホレ、アノ屏風山から山おろしがごぉごぉってな。
 丁度わしが、オメェ位の時に今日みてぇな晩だ。ばっちゃが、その又ばっちゃからから聞いた話を聞かせてくれたんだ。
 仕方無いべさ。今日はまだオメェのとっちゃもかっちゃも帰って来れねんだから。 まぁ良いから床さ入ってれ。聞いても聞かんくても寝てれって。
 むかぁしの話だで、みいんな忘れてしまってるべ。それで良んだ。それでな。
 澄乃って云う娘が居たそうだ。それがめんこい娘で、たいした気立ての優しい娘で、幼なじみで吉って男が居たそうだ。たいした仲良く、村の子供ら皆で、いっつもホレ、「ふもとの原」
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