鬼になった子供（鬼吉と春一番）/板谷みきょう
。もう、遊びに来ねぇでけれ。」っての。
吉は、それをどう受けとったもんやら、ザンザン降りの或る雨の夜にせ、ぷいっと消えてしまったんだとよ。
それから暫くしてだ。きこりの間から噂になったのが吉のことよ。なんでも屏風山の奥深く、獣をむさぼり、草をくらって鬼になったっちゅうてのぉ。そりゃあ、おっかねかったべな。こんままだと、鬼んなった吉の事だぁ、わしらば恨んで山降りて、里サ出て、いつ村ば襲いに来るかも分がんねぇでや。って、村のもん皆で仲間はずれにしたんだもの。うしろめたさがあるもんなぁ。
んだども一人だけ安心したのが居ったんだ。･･･澄乃よ。吉の姿が消えてから、心配と後悔で眠れん夜が幾晩続いたこと
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