また銀河ポットを買う 他/道草次郎
ちぇっと毒づき
仕方なく家へ取って返し
戻ってくると
銀河ポットはバラバラになっていた
あーあ
これだから猫は信用できん
陽だまりのなか
悪びれもせず
猫は顔を洗っていた
「良き詩人への旅」
歩き出せるこの足ならば
200メートル先のコンビニ迄と
なぜか決まってしまう
バックパッカーになる勇気がなくて
買った寝袋の値段を
20年間ずっと忘れられない
税抜き5980円
ここまで
生きて来てしまった
今出来ることは
何かといえば
詩の裏道をあるくことだ
ちょうど見知らぬ外国の
路地裏を往くように
語の配置や
スペースキーの持ってき所
間のとり方から
色々と
まるで散文のように
諸国をめぐり歩いてきたけれど
詩の路地には
この靴はどうにも硬すぎだ
情感を回る
中性子のような言葉を
詩人は
そっと置いている
ぼくはいつだって
旅に出られるだろう
木賃宿の枕は
謙虚な流木がいいと思う
そろそろ
新しい寝袋を買う
そんな
頃合いかも知れないな
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