『 風 車 』/ハァモニィベル
 
すると、
 もう一人の少年が霧の中に小さな虹を作って飛ばした
 「ケンちゃん?」  とつぜん 猫が訊いた。
 少年たちは、しかし、黙ったまま。
 ただ虹を飛ばしつづける。

 *
路を行く。猫と、(そう、猫吉親方と)
そこに、少女が立っていた…。
金色の髪、金色の長靴をはき、真赤な舌を吐く少女が
じっと立ったまま
よく見みれば、めまぐるしい速度で、
風車仕掛の金色の眼玉をグルグル回転させている。

 *

寂しい路の端に、ポツンと置かれた
風車売りの荷台が一つあった。
そこに風車を売る男が一人
 無頼なまま ボツリと 言った。
 「ドンキホーテにたった一つ出来ないことがあるんだ
 「それは、憎むということさ」





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