花でもなく/ハァモニィベル
花でもない なんでもない 碧き苔
土に落ち
ひっそりと咲く
世に咲く何ものであっても
わずかに命をたたえ
一瞬の音が残される
今朝は雨だった
乙女のような爪の軒先に
蜜の曲線が
降る
大和絵の糸を しっとり垂らして
しならせて
ソノ役を 果たそうとして
降る
落ちた今生に
未だ眠り半ばのまま
心のまま
宿した意識の視界から 外(そ)れて
外(はず)れて じっと 隠されて
秘密の
花芯の音だけが
ここでない場所にだけ
半ば目覚めて
そっと、残されて
降る
参考:【書き換え連詩】
(たこさんの作品>)https://po-m.com/forum/thres.php?did=196983&did2=172
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