「flip side」 2016.03.13/もっぷ
原宿の御文殊さんの縁日でニッキを買ったと日記には書く
小遣いも尽きそうになり見も知らぬ姉さんの売る情けを買った
海の子か山の子行きの分岐ですナビに問われて空の子と云う
突然の夕立に遭い左手の金平糖の指輪が溶ける
左手は姉さんのものそう云って顔をあげたら鴉が一羽
指切りをして約束をする夢のなかで姉さん包丁を研ぐ
お祭りは春と秋とにあるという四季はいらない春秋でいい
空の子になりたかったらまずビルの最上階からはじめましょう
屋上に腰掛けていた先客も女の子だった孵化したばかり
姉さんがあたしの背中をぽんっと押しGOと云うからいま、あたしは
前 次 グループ"三十一文字の童話『flip side』"
編 削 Point(2)