イカロス/AB(なかほど)
水辺のイカロスは
梅雨の数日しか舞うことはない
ただ静かに光りもせずにじっとしていれば
もう少し
例えば
今でも草陰で静かに呼吸をしている
のかもしれない
小惑星にまで触れたイカロスは
大気圏へ突入する
地球に帰るその時に
その目で見た最後の映像を送信した
それは当たり前の私達の星の姿
今朝のニュースのイカロスは
軍靴を履いて
飛んでいく先は明日でも昨日でもなく
その降り立つ先は親にも知られず
その翼は誰のために羽ばたいたのか
そのとき瞳は何をとらえて
最後の光は誰かを照らしたのか
さえも知られずに
私達のイカロスの
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