平成貧乏詩礼賛/りゅうのあくび
赤字セールは繰り返されながら
損益分岐点の死闘は
幻想のなか
夜更けすぎ
道半ば
風邪を引いて
お休みのところで
お寒いところ
詩情に迷い込む
俳優きどりの主人公は
お供の猫と
ふらつきながら
そう詩作中に
死に至りそうになっても
救急車も来ないまま
霊柩車もお断りで
断固して自然葬を
決め込みながら
詩に至っても
哀れむばかりの
一文無し一篇の死は
詩集のなかで眠っていた
墓標のした
再び目を覚ますように
ページをめくると
なぜか生き残った
詩心だけが紡がれていて
清貧が礼賛される世界には
何処の国とばかり何も知らずに
永久に平和を謳うだけでも
夢を描く自由だけは守られていた
きっと遠い戦争の辛い真実が
彼方へ過ぎ去るあいだに
人間と和解した
素敵な妖怪たちが
闊歩する場所ばかり
どんどん増えていく
愛らしい妖怪に
とって代わられた
清らかで貧乏な詩人たちが
詩集にある余白のなかで
その詩をむかえる
とても哀しいお参りが
ずっと続いて
残された絶景には
美しさをたたえて
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