『エンジェルエッグ』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
卵はひとつの理想形だ
人間もまた卵から生まれれば
これほど母親との確執に苦しむことはない
乳と血の繋がりはどんな病的恋情より
互いを束縛しその愛は動物並に遠慮がない
その点 卵は完璧だ
無機質な(モダンでシンプルと言ってもいい)
己の殻から生の一歩を踏み出す
母胎との間に完全な隔たりを持って
わたしは卵に憧れる
エッグはゆっくりと舞う
薄青い燐光は心を虜にし
つい時間を忘れて眺めてしまう
羽根の生えた卵
エンジェルエッグ
羽ばたくというより泳ぐよう
海月か
クリオネみたいに
天使という訳ではないのだろう
その日 軒下に作られた鳥の巣へ(そう思ってい
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