六月十六日の唄/りゅうのあくび
その血で詠い
生きとし生ける
人間の魂が
六月の雨に注がれる
河のようであっても
大雨を蓄える深い森を持つ
山のようであっても
そして驟雨がたどり着く
海のようであっても
人間として
命を燃やして
棲んでいる群れの中で
雷鳴とともに
雨がしとやかに降る雲や
風がゆるやかに吹く空を越えて
紫陽花が散りゆく季節に
数知れぬ花びらが舞いながら
大地はむらさき色に彩られて
真夏を想う
未来の去就と
向春を思う
過去の残滓とのあいだ
時が萌える六月に
久しく永い雨が降り続いて
薄むらさき色に染まって
今という魂は
捧げられるべき愛として
とても静かにここに
宿っている
この世界に
僕を運命のようにして
連れてくることになった
母の誕生日には
本当に
ありがとうって
伝えたい
人を愛することの
尊さを
僕に伝えてくれたのは
母なのだから
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