辻褄の合う伝言/りゅうのあくび
 
ちょうど
想うことと考えることのあいだで
人間がひとしきり
随分と迷うとき
やはり優しさが生まれるのだろう
朝方の出張に備える
昨晩の夜更け過ぎには
ただ愚直に仕事に行く
考えがあるだけで

そう辻褄の合う伝言には
実家から自宅宛に
蜜柑一箱をお歳暮にして
贈る日を伝える理由があった
やはり電話越しにある
母の声に嬉しさを聴いた

四十年も昔に生まれた遠い日が過ぎて
まだ若い母の口癖が耳に残る
僕が迷うときに
掛けていた母の言葉があって
いつも魂を入れて自分で考えなさいと
ふと厳しい音域で
伝えていたことを
感謝とともに想い出す

父が負った借財
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