たんぽぽ花粉予報/りゅうのあくび
幼いころの古びた靴は
シャベルよりも
ずっと小さくて、
土遊びをしながら
泥だらけで夕暮れに沈んでいた。
永くて遠い春はすでに
まなざしの向こうにあって、
冬を越えるたび
軽くうなずきながら
アスファルトから咲く。
かすかに揺れる
黄色い花びらは、
綿毛のついた種を
何処かの記憶へと
風とともに運ぶために散って逝く。
かすかに揺れる
黄色い花びらは、
柔らかい大地の
匂いがする季節に
くしゃみをするたび思い出す。
かすかに揺れる
黄色い花びらは、
もうずっと
この街で見かけてない。
小さな春を何処かに探しても
とても寂しい想いをするけれど、
くちびるにふれた
君の温もりに、
僕の切ない祈りが咲いていた。
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