月を食む夢をみる鳥/りゅうのあくび
 
彼女が突然
夜食にゆで卵を食べたいと云って
卵をふたつゆでた。
寝そべって
二人でひとつずつ食べながら、
話をする。

彼女には卵の黄身になってくれたら
僕は白身になって君を包みたいと云ってみたら
少しおなかが膨れて
二人は、「翼をください」を唄っていた。
もう まどろみのなか
眠る前に歯を磨く。

ぐっすりと
眠りにつくと
秋の深い真夜中にも、
鳥は卵の白い殻を破る。
二羽の鳥の
永い旅が始まる。
遠い夜空へと。
いつか大空に浮かぶ
月を食べる
夢を見るように、
大きく羽根を広げて。
夢の中をはばたく真似をしている。

   グループ"彼女に捧げる愛と感謝の詩集"
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