白い砂漠に恋する夜明け/りゅうのあくび
ちりちりと届く
陽の光を避けるため
恋しい人との暮らしで
静かでこっそりとした
木蔭をもたらすことを願い
孤独な匂いのする
ポプラの苗木を
リュックサックに背負い
恋しい人のため
いずれポプラ並木を
育てる予定で
地上の最果てにある
寂寞の想いを記した地図と
小さなコンパスを
握りしめ
乾いた白い砂漠を
踏みしめて歩く
吊橋を渡る頃に
空気が凍える明け方には
ぬくもったまなざしを
古い吊橋のたもとに向けると
約束どおりに待つ
銀白色のジャケットを着た
恋する人を見つける
恋人は太陽が眩しい
ということを告げる
冷たくて凛とした頬を
暖め合いながら
白い砂漠はどこまでも
素肌を包んで
光のなかへと
倒れこむみたいにして
遥か南で採れる
黄色い果物の薫りが
微かに漂っていた
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