笛吹き少年の行くえ(1)/Giton
宗の寺でひと夏を過ごしています。)
夜の湿気と風がさびしくいりまじり
松ややなぎの林はくろく
そらには暗い業の花びらがいっぱいで
わたくしは神々の名を録したことから
はげしく寒くふるえてゐる
もし、こちらの詩が採用されていたとしたら、《聖人》ではなく《暗黒の罪人=宮澤賢治》が誕生していたかもしれず、たいへん興味深いものがあります。
なお、この詩の「業」とはもちろん、仏教に言う業(ゴウ)(前世の善悪の行為によって現世で受ける報い) のことで、「花びら」は人の魂をイメージするものです。なべての生きとし生けるものが負う「原罪」の深さに、自己の「罪深さ」を思い、慄然
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