笛吹き少年の行くえ(5)/Giton
 
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   【5】 歌のわかれ


   雪 峡(注:下書稿(四)手入れ(2)。ルビはすべて編集者。)

 塵(ちり)のごと小鳥なきすぎ
 ほこ杉の峡(かひ)の奥より
 あやしくも鳴るやみ神楽
 いみじくも鳴るやみ神楽

 たゞ深し天の青原
 雲が燃す白金環と
 白金の黒の窟(いはや)を
 日天子奔(は)せ出でたまふ


ところで、じつはこれまで、↑上の各連の1行目を、あえて解釈に入れないで論じてきました。
というのは、各1行目がなくても、全体の意味は変らないかのように見えるし、全体の流れとはちょっと異質な感じもします。

じつは、「雪峡」を「下書稿(一)」か
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   グループ"宮沢賢治詩の分析と鑑賞"
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