淀のワルキューレは/平瀬たかのり
この世のありとある戦場、天空には
女神ワルキューレが舞っていて
いのち落とした戦士を
黄泉の国まで導き連れていく
そういうことにしておこう
祝福の象徴を名に持っていたが
与えられたのは
東からの刺客
なんてぶっそうなあだ名
その小さな黒鹿毛は
淀の競馬場でこそ
ひたむきに走り
あだ名に違わぬ仕事を果たし
その名にふさわしい復活をした
だから淀のワルキューレは
小さな黒鹿毛を欲しいと思った
だからあの日第三コーナーで
その背に飛び乗った
彼女は
わがままな京美人の笑みを浮かべ
今も天馬を駆っている
みずからにも翼があるくせに
そういうことにしておこう
(ライスシャワー)
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