【紫の華】 詩人サークル「群青」二月のお題「紫」への提出作品/そらの珊瑚
左腕に
浮き出た内出血の痣
八年前に受けた
ハーセプチンの点滴は
あたしの血管までもぼろぼろにして
以来 採血は
看護士泣かせの儀式となった
その痕を
老いた母は
かわいそうにと
いくども撫でた
親より先に逝かないでね
きっと
あたし以上に
母は
あたしの死を意識したのだろう
おかあさん、あたし がんばったでしょう
母の呉れた
憐れみは
小春日和のまどろみのように
心地よくて
醜く咲いたこの華を
がむしゃらに咲いたこの華を
一週間もすれば散るこの華を
うっかり
愛してしまいそうになる
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