コーヒーによる世界の捕え直しのためのエスキース(習作)/N.K.
 
朝、職場の一日の初めに同僚たちが
コーヒーを啜っている一角には
充填しそこなった活力が
辺りに漂い出している

それに与りたいと
自分もカップにコーヒーを注ぐ
一日の仕事をやっつけるために
錆びついた頭と身体に燃料を注ぐ

注ぎそこなった褐色の記憶を辿ると
その初めての出会いはたぶん
小学校、五、六年の頃だったか

その情景はマラソン大会で
横っ腹を押さえて走って
何とかたどり着いた
折り返し地点にいた先生は
「ほれ、コーヒー コーヒー」
と自分に声をかけてくれていた

その数日前に
その頃太り気味で
長距離が苦手であった自分は
初めてコーヒーを飲ん
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