カフェラテの子ら/深水遊脚
久しぶりの喫茶店
ミルクを静かに落とし
珈琲はかき混ぜない
ここでよく見かけた
カフェラテと勝手に名付けていた猫
唇と歯の間を狭めて息を吸い
呼び寄せるための泣き真似ひとつ
みゃお
カフェラテが振り向いて身を固めた
家に籠りがちの日々
新聞で百科事典でも作ろうとするように
本や映画のレビュー
連載小説とその挿し絵
学習用英字紙の外国の風景
週一回の短歌と俳句の投稿欄
大きいものから小さいものまで
集めることで力を使いきった
このお店でふと手に取った
夕刊で知った映画にそのまま行きたいと思う
縁なんてそんなもの
たまたま見つけたカフェラテが
下手な私の鳴き真似に
気を使って振り向いたりもしたのだ
店主が珈琲袋に描いたアートの猫が
過去と未来の薫をつなぐ
よく似た毛並みの仔猫たちが遊びにきている
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