八月の小石/小池房枝
オトウサンモドキのような百合の群れ
人に化けそこねて百合に咲いている
ぽっかりと月手放してサルスベリ
瞬かぬ月は妖かし一つの目
サルスベリ百日の火花咲き継いで
月仰ぎ雲湧くがごと百日紅
空あります海もあります駐車場
幸くあれと風の手のひら田を渡る
向日葵とダリア互いのように咲く
アカマンマあの夏からの御ままごと
秋立ちてキツネノカミソリつっと立つ
何のために生まれてきたのか知っている
さしのべる手を受け止められるはずがなくても
井の中に蛙飛び込む水の音
ニンゲンが星に願いをかけるの禁止
彗星の軌道と今年も交叉する
風は風 空は空そして ひとはひと
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