落とし文月/小池房枝
 
吹く風よ微笑む人の面影よネム絶え間なく船出の風情
 
朝ごとにアサガオその名に天国を青さに空を映して地上に
 
花、柘榴。タコさんウィンナ血の味を実に成す前に朱色地に散る

鬼の木は天使(エンジュ)涼しき薄緑 踏みしだきながら見上げれば空

シャクトリはどこから来るの鉢植えの三個体目が同じ枝ぶり

確かめに行くとやぶ蚊に守られて夕闇の林キツネノカミソリ

真っ白なムクゲが雨に咲きかねてバレエのジゼルの衣装のようです

にわたずみ ほとりにたたずむひとかげは あれはひとではないかもしれない


降る雨を手に受けるように耳深く鼓膜に雨をあててみたいな

首、体、深
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