【 カマキリの災難 】/泡沫恋歌
 
昼下がりの公園
子どもたちが四、五人集まって
わいわいやっている
何だろうかと覗きこんだら
身体が一番でかい男の子が
カマキリを手に持っている
青い立派なカマキリだ

「今から、このカマキリ空を飛ぶでぇー」

大きくかぶり振って
男の子は空高くカマキリを放り投げた
放物線状にクルクル回転しながら
フェンス越しの駐車場へ
落下していくカマキリ
そして見事な着地だ

「ウルトラC!」

何もなかったように
駐車場のアスファルトの上を
ヨチヨチと歩き出した
あんな目に合わされたのに
カマキリは平然としている
昆虫って感情とかなさそうだ

だけどカマキリ
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