雪が降り始める頃/subaru★
 
東京よりも冷たい 氷の陸地
夜もしんしんと深まって
冷え切った雪が
我慢出来ずに
懐(ふところ)に落ちていきます

散らばった日本語が
冷たい雪で埋(うず)もれます
私一人の熱さでは
雪は溶けてくれません

心持たない守衛が
少女の家の前を守っています
鉄仮面の守衛が
少女を冷たく見ています

少女は臆病だから
氷を飲んで
白い息を殺しています

見つかるのは忍びないから
ツバキも凍らせて
それを無理やり押し込んで
息を潜めています

隠れているのは
鬼も捕まえに来ない
冷たい氷の陸地

此処は凍っているのに
『自由』と言う文字だけが
とうの昔に溶かされました

凍えた少女の黒髪に
雪が落ちていきます
白く ただ白く落ちていきます

強引に雪が割り込んで
家族の思い出も
友達の思い出も
何もかも包み込んで

この白い ただ白い
何もかも覆いかぶさる世界では
雪に紛れて静かに願うだけです

歳をとれない少女は
白い息を殺して待っています
誰かが 見つけに来てくれるまで
   グループ"十二月のうた"
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