花束と折り鶴が少しだけ風に揺れる、ように/るるりら
 
この星の何人かは
ちいさめの正方形の紙を見かけると
戦争が終わった後だというのに
戦争のせいで病み 快癒を折り紙に託しながら
亡くなった少女のことを思い出す

紙の角と角を 合わせて
鶴に嘴をつけるときは 微妙に個性的な表情がつく
そして 均整のとれた形の中央に
繊細に 息を吹き込む


少女の折り鶴は ガラスケースにいれられて
うやうやしく 原爆資料館に保存されているが
いままさに うまれようとしている 折り鶴も
最後に息を吹きこむと完成だ

細心の注意がそそがれて 紙は息をうけて すこしだけ ゆれる
ふくらみに とどまる息が やはり生きたいと言っている




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即興詩の試みのサイトへの、参加作品です。
題名は、ABさんです。
   グループ"るるりらの 即興ゴルゴンダ"
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