詩人の罪/岡部淳太郎
の死から逃れられずにいた。いま考えれば、そうして妹の死だけをテーマに書きつづけることが、大きな喪失体験を味わった僕にとっての、心のリハビリテーションになっていたのではないかと思う。
そうして書いた詩が二十数篇。なるべく冷静に、感情を抑えて書こうとしたのだが、それらの詩の中には、どうしても拭い去ることの出来ない感情が、べっとりと血糊のようにこびりついていた。落ち着いて読み返してみると、ほとんどが読むに堪えない代物だった。だが、その中でもわずか数篇は何とか詩としての強度を保っていた。僕はそのようやく救い出した数篇のうちの二篇を「現代詩フォーラム」に投稿した。「墓地の壁」と「駈けていった」がそれであ
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